距離

肩幅の問題はとてつもなく難しい
瀬戸際で掴んだ 溶けかけている鼈甲飴


ゆっくりと灰色削って
振り向かない 当然のごとく
紅いパステルで描く円が
いつでもどこでも巧くいくわけがない


改札が古すぎて擦りきれたみたいに
不器用にコンセントを引っ張るだろう
なんとなく静電気がほしくなったら
揺れてもいいと想える距離まで


このままでは終わらない
だからって進まない
溜めこんでいるのは消しゴムの延長線だけ


共鳴するわけじゃなく
偉い人の名前も憶えない
ただたまに猫に似た仕草を想いだしてしまって
ゆらゆら消えそうで


山積みの古書をひとつずつ抜いて
こっそりと地図で包めたらいいけれど
足早に去ってゆくカラフルなベルトは
姿見すらも降りきってゆく始末だった


削げかけた距離感
どうせ歩調も体温も頼りない
諦めて早足を選べば
土踏まずの裏の世界は平和なままだろう


初めてはじけた


無自覚に眉間に皺をよせた挙句に
ひとつだけ誇れる方向感覚を失くした
あと半歩ずれることも赦されないのに
不思議と巧くこの距離は続く