クラフトビールの詰め合わせ

 お知り合いでクラフトビールのショップにお勤めの方がいる。ビアバーも併設のショップだ。私の住む街からは、日帰りはできるかできないかくらいの場所にあり、三年前にこの方がこちらで勤め始めて以来いずれ訪れようと思っていたのだが、この二年来の状況で、まだ果たしていない。

 先日この方も交えての遠隔呑み会をしたのだが、酔いもあってか思い切って、「お店の状況はどうですか?」とお尋ねすると、「給料は下げられていないのですが、赤字がたまる一方で」とおっしゃる。経営のことはとんとわからぬが、もちろん良いことではなかろう。それこそ酔いもあってか、ふと思い立ち、「それでは~円くらいでビールを1ダースくらい見繕って送ってくださいよ」とお願いをした。「経済を回さねば」というかの凡庸な流行語が頭を駆け巡ったことは言うまでもない。この言葉を発する時には、大体義務感よりは欲望の方が勝っているという当たり前の真実も、わが身で経験した。

 もっとも、「義務感」めいた気持ちも多少はあった。私はもともとお酒にはそれほど贅沢をしないようにしている。それなりの量を呑むから、というのもあるが、あと、舌が驕るのが怖いのだ。どんなものでもありがたくいただく心持を保つために、普段は出来るだけ平均的なものを楽しむ方がよいと思っている。だから、クラフト・ビールの類いも滅多に買ってこない。もっとも、比較的収入が安定した状況にある私がいつまでもそうした心持ではいけないようにも思う。別に義務ではないのだが、たまにちょっとした贅沢を楽しむことは、確かに経済という観点からも、自分の精神衛生という観点からも、好ましいことように思わなくもない。

 

 なんにせよ、翌々日にはわが家に1ダースのクラフトビールが届いた。いずれの瓶も美しく、お知り合いの方がつけてくれた一本一本の説明書も気持ちをそそる。ところで、こちら、やはり冷蔵庫に入れねば、と野菜庫に並べてみると大変場所をとり、おかげで家人の機嫌はよろしくない。

 これは一刻も早く呑まなければと、その夜早速一本呑んでみると、香りも喉越しも素晴らしく、やはり別格である。これを毎日一本ずつ、二週間かけて呑んでいたら、すっかり舌が驕って普通のビールが呑めなくなってしまうではないか、というわけで、少々贅沢ではありますが、一日二本のペースで楽しく消費しております。冷蔵庫のスペースのためにも仕方がないですよね。

 言い訳ばかりがうまくなる・・・(←うまいのか?)

 

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