整形外科でのとある会話

 ある穏やかな昼下がりの、通っている整形外科での、支払い時の会話。

 

私「あれ、普段480円で、今月二回目ですけれど、730円になっていますね。どうしてですか?」

受付「前回先生の診察を受けていますので、そういう時は次回も加算料金があるのです」

私「(ふ~ん、そういうものなんだ)へえ、そうなんですか、わかりました。では、(財布を探し)530円払うので、五十円玉のお釣りでお願いできますか?」

受付「はい、わかりました(五十円硬貨をくれる)」

私「ありがとうございました」

受付「お大事になさってください」

 

 帰宅して財布をチェックすると、何かがおかしい。730円払っていれば減っているはずの百円玉が減っていないのだ。なんだか気持ちが悪いな、と思っているうちに、はたと上の会話を思い出した。

 「リアル時蕎麦だ!」と思わず口に出た。思いもかけず、見事な(?)「詐欺」をやらかしてしまった。寝覚めが悪くなりそうなので、すぐに電話をして、受付の方に確認をしたところ、「ああ、確かにそんなふうにしてしまいましたね。不注意ですいません。不足分は次回いらした時にお支払いください」との返答があり、かくして一見落着。ちゃんと支払いも済ませました。不注意、というか、悪いのは俺だけどな。

 

 稀代の詐欺師だったら、こんなことがあったとしたら、「俺は、自分の意思と計画に基づく仕事しか認めない。こんな偶然で得た利益はちゃんと返さないとな。俺にもプロの詐欺師としてのプライドっていうものがあるんだぜ」などと嘯くのかしら、などと思ったが、考えてみたら、プロの詐欺師だったらこんな間抜けな勘違いをしませんね。

 

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