年齢を聞かれたら

 年齢を直接に尋ねる/尋ねられることは以前に比べて少なくなっているが、共通の話題で盛り上がる中で世代が近いかもしれない、などと思い、「失礼ですが、おいくつですか?」などと聞く/聞かれることもなくはない。そうした時は、「いくつに見えますか?」などと阿呆な答えは当然せず、淡々と事実を答えるのが普通だろう。
 もっとも干支で答える人もいる。これまでは、単なる癖だろう、くらいに思っていたが、ちょっと狙いの違う人もいるかもしれない。

 

 先日、職場で呑んだ時の話。年度始めということで、初対面の人も多くいらっしゃるやや公的なパーティーがあり、その後、見知った人、これまではZoomでのみお話ししてきた方、初めての方も含めて五人ほどで呑みに行った。この席にいらっしゃった初めてお会いした方(男性)が、独特の色気のある方で、話題豊富にして話し方も若々しく、少しお話しするだけでも、人の気持ちを惹きつける方でいらっしゃる、と思った。流れの中で、ある方がこの方に、「Yさん、そういえばおいくつですか」と尋ねたのだが、Yさんの答えが「〇です」と、干支で答えるものであった。
 干支で答えられると、私としては、「Yさんはおいくつかしら」と、自分の干支と比べながら、あれこれ計算する。そして、計算が終わったときに、はたと思いついたことがあり、初対面であるにもかかわらず、次のようにYさんに申し上げた。

 「Yさん、お上手ですね。直接においくつとは言わず、干支でお答えになると、こちらとしてもYさんがおいくつだろうと計算し、その間、Yさんのことを考えることになる。Yさんに惹きこまれる感じになる。Yさん、きっとおもてになるでしょうけれど、会話の中でも年齢の話になったら、干支で答えて、相手の方の関心を自然に惹きつけてきたのではないですか?」

 これを聞いたYさん、ニコニコとしながら、「いや~、見事な分析だな、そんなふうに狙っているつもりはなかったけれど」と大きな度量でおっしゃる。その鷹揚とした応対も、また魅力的であった。

 真実のほどはわからないが、案外私の分析があたっているような気もする。私も、今度、年齢を尋ねられたら、干支で答えてみようかしら? もっともこれは、魅力的なYさんだからこそ効果的な技であって、私などがしたら、「M&M'sよ、いいから、素直に年齢を答えるのだ」と、ブーイングを浴びてしまいそうですが。

 

M&M's


追記:そういえば、未成年でたばこを吸う人は、路上での警官の職務質問で年齢をごまかせるように、20歳以上になるような干支をすぐ答えられるようにしておくとよい、などという話がありましたが、あれは都市伝説ですかね?

 

(久しぶりに期日通り4月5日に書きました)