語学の話

(※ 遅れに遅れて8月3日(木)に書いています)

 

 娘が英検準2級に合格した。年齢を考えればまあまあ早い。余力をもっての合格でもあるので(私たちの住む地域では、受験者の上位2%に入る成績だった)、多少の親ばかではあるが立派だと思っている。学校で話すと妙な攻撃を受ける可能性もあるから周りには話さないように、と言い聞かせているので、せめてここでは褒めてあげたい。お許しを。

 もっとも英検の試験というのは、合格したから無条件で喜んで良い、といったものではないとも思う。

 問題の形式は四択で、ある程度パターンがわかると、極端な話、話題がわからなくても解答できるものが多いのではないだろうか。たまに、小学校1年生で2級合格とか小学校3年生で準1級合格といった記事が出てくるが、当人の努力は立派と思いつつ、どこかしっくりこないところがある。これらの試験で出てくる時事問題について、いくらなんでも理解が追い付いていないだろうと思うからだ。多少のやっかみはあるかもしれないが、そう的を外してもいないような気がする。皮肉な言い方をすれば、この年齢で合格してしまうということは、英作文なども含むとはいえ、基本は四択がメインである試験の限界を示していると思う(註1)。英検については、そうした一種の「限界」は意識していたほうがよいだろう。

 そうしたわけで、娘には続いて2級の試験も受けるように促しているが、「英検2級」合格、を目標とするというよりは、仮定法なり分詞構文といった事項をしっかりと理解し、問題文に記されている事柄を本質的に理解することを第一の「目標」とし、いわばそこにおまけのような形で「英検2級」合格がついてきてくれるのなら、と思う。

 

 ところで四択問題、まったくメリットがない、というわけではないとも思う。

 娘の英検合格に触発されたのか、私自身、最近イタリア語検定3級とドイツ語検定3級の問題集を手に入れて、ちょこちょこ解いている。私のイタリア語とドイツ語は「なんちゃって」の部分が多いので、少し真剣に勉強したいと思ったのだ。最終的には、イタリア語については2級、ドイツ語についてはできれば準1級を目指そうかと思っている(三日坊主にならないように!)。そこでとりあえず二つの言語の三級の問題集にとりかかってみたのだが、大体はすいすい解けると共に、時々間違え、それを確認するとやはり文法や語彙の穴が明らかになるのである。そうしたわからないところだけ抜き出して再度復習すれば効率が良い。どんどん進むという意味では精神衛生上いいし(ゲームをクリアしていくような喜びがある)、自分の知識の欠落が明確になる点も好ましい。思い起こせばこうした勉強法は、センター試験の勉強に際して実行していたと思う。

 このように考えるなら、四択の問題というのは、それが解けるようになることを目的としてはいけないが、ある程度知っている事柄について効率よく確認を行い、同時に、自分の知識の欠落を明らかにする、という意味で、結構効率がよいのかもしれない。そうした点を上手に生かすなら、四択問題も意味があるだろう。

 

M&M's

 

註1:ただ、今ちょうど、長崎県の中学校三年生が英検1級を取得した、という記事を読んだのだが、この方は立派だと思う。記事によれば「テレビでは積極的にニュースや特集番組を見て時事問題に触れ」ていたそうだし、「英語のレベルを保ちたいし、日々社会の出来事は変わっていくから」と言って、「今後も年に1度は英検1級を受け続ける」という。前世でどのような善行を行うとこんな立派になるのか・・・ なんにせよ、「英語」だけが目的ではなく、「英語」の先にある「知識」「時事問題」を見据えているところが素晴らしい。