日記

 仕事に直接関係する事柄は書かないようにしているので、仕事が充実すると、書くことが減ってしまう。いや、書きたいことはあるのだけれど、多少ともまとまりのある形にするための時間がない。残念だが仕方のないことだ。とは言え、仕事ばかりをしているわけにもいかず、多少は、気晴らしめいたこともしている。後々何ごとかを記すよすがにもなるので、仕事以外で最近していることを簡単に記しておきます。完全に私的な備忘録ですが、お許しを。

 

1)読書関係

A)少し前のことになるけれど、「とにかく気分を変えたい!」と思い、家に転がっていたアシモフの『幼年期の終わり』を読む。かなり良かった。もしかしたらSF愛好家には当たり前のことなのかもしれないが、この世のあれこれの雑事が、まさに「些事」に見えてくる。こういう心持にしてくれるのが、優れたSFの功徳の一つなのだろうか。私、SFについては全くよき読者ではないのだけれど、優れたSFであれば、教養という意味でも、楽しみとしても、読んでおきたいものと思うきっかけとなりました。

 

B)久しぶりに大江健三郎を読みたい気持ちになっている。なぜこんな気持ちになったのかはわからないが、良いきっかけと思い、再読している(彼の小説は、長編はある程度読んでいる)。仕事の合間に短編集を読みつつ、夜は『万延元年のフットボール』を少しずつ読み進めている。昔読んだときより(25年ほど前に読んでいる)、「わかる」という気がする。大江健三郎の「仕掛け」が、以前よりは見えるようになっているからだろうか。とは言え残念ながら、彼の小説を分析し語る言葉を私は持たない。ちょこざいな「分析」などを拒む小説の言葉に畏怖を覚えるからだろうか。

 

C)以前より気になっていた『笑犬楼 vs. 偽伯爵』(新潮社、2022年)を読む。途中に、『伯爵夫人』と『時をかける少女』に対する対談者同士の論評がある、ということで、とりあえず未読だった『伯爵夫人』を読む。やはり未読だった『時をかける少女』も、近々に読むつもり(しかし、なぜ読もうと思わなかったのだろうか? 角川の映画になるような小説は読んではいけない、と強く思いこんでいたのだろうか? あっ、映画は観ていませんが、原田知世は好きです)。『伯爵夫人』、とりあえず図書館で借りて読んだのだが、再読を誘う小説でもあるので購入するか思案中。値段の問題は全くないのだが(当たり前)、なかなかお過激な描写が多いので、娘がこれを見つけて、小説中のあれこれの言葉の意味を聞いてきたら、と思うと、つい二の足を踏んでしまう。娘から『ハンチバック』に出てくるあれやらこれやらの言葉の意味を尋ねられた、あの拷問のような時間はもうすごしたくない。

 

2)音楽関係

A)フォーレの四重奏のために買ったCDに収録されていたアルベリク・マニャール(1865~1914)の四重奏に心惹かれる。マニャールという作曲家については全く知らなかったのだが、「いかにもフランスらしい」作風に留まらず、かなり強固な構築性(「ドイツ的」と言っていいのかしら?)と同時に、従来の手法に留まらない響きを聞かせてくれる。「素晴らしい名曲!」などと大騒ぎさせるものではないが、何とはなく心惹かれる。続いてヴァイオリン・ソナタ交響曲第三番と聴いてみているところ。曲数が多い人ではないので、もう少し色々と聴いてみようと思います。

 

B)娘から、引退する吹奏楽部の先輩に贈るプレゼントの相談を受ける(このあたりはまだ信頼してくれているらしい)。クラリネットを愛する、かつとても上手な女性ということで、「ちょっと渋いけれど、ブラームスクラリネットソナタなんかいいのでは?」と言い、CDを聴かせたところ、「ちょっと渋すぎるかもしれないけれど、これもいいかも」ということで、予算(部活で指定されている)以内のCDを探すように、との厳命を受ける(こんな依頼をしてくるならば、日頃もう少し私に対する言葉遣いに気を付けていただきたいところだが・・・)。ところで、諸々の条件にあったCDの中に知らない作曲家の名前がある。名前はニルス・ウィルヘルム・ゲーゼ(1817~1890)。wikipediaの記事を見る限り、デンマークの音楽界では相当有名な人らしい。上のCDに収められている「幻想小曲集」(Fantasistykker, op. 43)は、クラリネット奏者の間では、それなりに有名な曲なのだろうか、いくつかの演奏がYouTubeにアップされている。そのうちの一つのリンク先を貼っておきます。のんびりと気楽に聴くことができる曲かと。

 

https://www.youtube.com/watch?v=HaI7qKdjoWU

 

 なお、グリーグの「抒情小曲集」の第6巻(op. 57)の第2局は「ゲーゼ Gade」という名で、この作曲家の思い出に捧げられているとのこと。興味のある方は、以下のリンク先からお聴きください。

 

https://www.youtube.com/watch?v=-yAhJiIpf-w

 

M&M's

(※ 9月28日記)