二日酔いの効用

 忘年会の季節である。それほどではないが、多少はそうした会にも出席するので、自ずと、二日酔いの日も多少は増える。そんな日は、うだうだとしながら少し朝寝をして、水分を補給しながら、体調が落ち着くのをぼーっとしつつ待つこととしている。

 もちろん仕事の能率は減るし、飲んでいた時間+二日酔いで使いものにならない時間を無駄にしたと思うと、なんとも虚しい気持ちになるのだが、さりとて、二日酔いにもちょっとした効用はあると思っている。

 布団の中でぐずぐずとしているうちに、想念が段々と「自分がいる」という存在感情のようなものに純化されていくような心地がするのが、そうした効用の主たるものだ。私たちは普段生きていて、様々な思いに捉われているわけだが、二日酔いの時は、そうした捉われが減り、大切な思いだけが残されて心に迫ってくるように思う。だから、時折二日酔いだからこそ感じられる「世界の美しさ」というようなものがあるように思うだ。そうした時こそ、秋晴れの美しさや木の葉の色合いの変化が、染み入るように感じられるのだ。

 まあ、酒飲みの自己弁護の類いだし、単に酔いが残っているにすぎないのかもしれないが、あの味わいには得も言えぬものがある。

 

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