電子書籍とどう付き合うか

 タイトルの通りです。皆さまのお役に立つような情報はないでしょう。今後自分が電子書籍とどう付き合っていくか、方向性を定めるために、とりあえず何か書きながら考えをまとめたい、ということです。

 

 電子書籍はこれまでほとんど使用していません。理由はごく凡庸なもので、紙の本の方が身体的に落ち着く、というのと、目の疲れを徹底的に避けたい、というものです。あと、地理的に図書館や書店について恵まれており、たいていの紙の本は何かしらの形で入手できる、というのもありました。かって海外に暮らしていた時に必要に迫られて数冊購入したことはあり(だから、こけぐまさんが電子書籍を重宝なさるのはよくわかる)、その利便性はわかっているつもりですが、そもそもそうした「必要」に迫られることがほとんどない、といったところでしょう。

 電子書籍ならざる電子テキストの便利さ自体はよくわかっているつもりです(正しい言葉遣いかわかりませんが、著作権が切れ、各国の国立図書館などから自由にダウンロードできるものを便宜的に「電子テキスト」と呼んでおきましょう)。ある時は必要に迫られ、ある時は自分の楽しみのために、様々な電子テキストをダウンロードし読むこともよくあります。それこそ何年も探していた書物が簡単に手に入りますし、管理も圧倒的に楽です。様々なメモを、後から確実に読める活字形式で残せることも大きい(これまで過去の自分のメモの解読にどれだけ苦労したことか!)。

 しかし販売されている電子書籍については、紙のものが簡単に手に入るという理由から、これまでほとんど入手を考えてきませんでした。海外にお住いの知人の方が、ブログでたまに、電子書籍の「大人買い」の報告をなさっており、「楽しそうだな」とは思いつつも横目で見ている感じでした。別に電子書籍を否定したいわけではなく、なくても別に困らないという理由です。スマートフォンを持たないのとまったく同じ理由です(職住近接なら、ガラケータブレット、PCで十分、というのが私の考えです-コロナを考えざるを得ない現状、考えを変えないといけないかもしれませんが)。

 

 とはいえ最近、組織的に電子書籍の購入とその「蔵書」(蔵書と言うのかしら?)の方向性について考えるようになりました。理由は二つ。

 一つは、将来のことを考えてのことです。それなりに生きてきていますので、まあまあの蔵書数ではあります。ただ、老後に向けては段階的に整理していきたい。何度も読みたくなるような造本の美しい書物を中心に、まあ1000冊くらいに蔵書を絞りたいな、とは漠然と考えています。「老後」まではそれなりの時間がありますが、頭の片隅にこうした気持ちを置いておかないと、本はどこまでも増えていってしまう。そうした「蔵書」の整理、という観点から見た場合、何か決まったタイプの本を電子書籍で購入することにする、というのは、有効な手段のように思います。

 二つ目の理由は、これは、キャンペーンに負けた、というものです。私は日本の大手書店を二つ使い分け、一応どちらの電子書籍も使えるようにしているのですが、片方がなかなかの割引を仕掛けてくる。出版社単位での20%、30%割引や、漫画の大き目の割引などがよくあるわけです。これらを生かさぬことはない、という思いになってきたわけですね。

 そんな次第で数冊購入してみたのですが、確かに悪くはない。多少の目の負担はありますが、そこは注意の払い方次第。というわけで、今後は場合によっては電子書籍の購入も検討していくことといたしました。

 とはいえ、無反省に買っていくなら、いくら場所ととらないとはいえ、それなりに膨大な量となってしまうし、物理的に目に見えない分、逆に死蔵されてしまうかもしれない。また、電子書籍の購入形態からして、ルールをいくつか決めておかないと、経済的にとんでもないことになってしまう。

 このように考え、あれこれルール、というか、電子書籍で購入する時の基準、というのを考えてみました。

 

1)まず、多くの人が同じ基準をとっていらっしゃると思いますが、漫画についてはやはり電子書籍は便利ですね。現在我が家では、数編の漫画のシリーズを紙でで揃えているのですが、やはり場所を取ります。そのこともあって、いくつかの漫画については、これまで購入を断念してきました(まあ、仕事を放り出して読み耽ることを恐れてもいるのですが)。しかし電子書籍ならば場所をとらないし、漫画は活字の本と比べて目の疲れも圧倒的に少ない。そうした次第で、いくつかの漫画を購入してみましたが、これは大変便利ですね。なお、あれこれ見ている過程で、第11巻まで集めながら続刊のことを忘れていた『チェーザレ 破壊の創造者』について、第12巻が出ており、かつ紙のタイプでは入手できないことがわかり、電子書籍の方で購入したのが、私にとっては思わぬ幸いでした(もっともこちらは、紙のものが再版されれば購入するつもりですが)。

2)ほどほどに頭に内容が入っている短めの古典というのも、電子書籍で揃えておく便利のように思います。それこそ『徒然草』なり『方丈記』のような本は、ある程度は中身がわかっているので、ちょっとした気分転換のために、電子書籍の棚に入っているのは好ましい。旅先でふらりと読んだりするのにも良いように思います。

3)また、あるジャンルにおける教科書的な本は、購入しておくと良いようにも思いました。「明治維新」なり「江戸の文化」などのある程度大きなジャンルについて、やや分厚な教科書的書物を購入し、そのジャンルについて他の書物で学んだ情報をこの教科書にコメントの形で書き込んでいくのは、この分野に親しみ知識を増やすには、かなり有効な方法とも思います。

4)あと、かって楽しく読み、それなりに書き込みをした本については、再度購入して、紙の本にあった書き込みをすべて電子書籍に転記しておくのも楽しいかもしれないと思いました。良い記録にもなるし、将来読み返しても楽しそう。転記が少々面倒ですが、これは家族にアルバイトを頼む手があります。

5)3)、4)を併せた基準ですが、まあまあ興味のあるジャンルのほどほど分厚な本、というのは、電子書籍のほうが良いかもしれません。この手の本というのは、「いつかまた読む」と思いいつまでも処分できないのですが、場所取りなのですよね。

 

 ただ、特に5)のタイプについて言えることですが、ほどほど真面目なジャンルの本だとやはり目が疲れてしまう。そうすると、電子本で購入の上、同じ本を図書館で借りてきて、とりあえず紙の本で読みながら、気づいたことを電子書籍の方に書き込んでいく、という手もあるかもしれません。同じようなことは、3)や4)のタイプにも言えますね。

 

 逆に、電子書籍での購入を躊躇う書物、というのもあります。

1)長篇小説。やはり厳しいように思います。なんでだろう・・・ 歴史の概説書などは電子書籍でも大丈夫だと思うのですが。小説を読む、というのは、私にとってはアナログな行為で、PCやタブレットで読む、ということに、身体的な抵抗があるようです。

2)旅行記やエッセイなどの軽めの読み物。こちらは電子書籍で読むことにさしたる抵抗感はないのですが、下手をすると膨大な数を買ってしまいそうです。この手のものは、図書館で借りて読みつつ、特に気に入ったものを自分で購入する、というスタイルで基本的には良いかしら、と思うところです。

 

 とりあえずはこんな感じでしょうか。

 しかし、長い割には(相変わらず)情報量が少ない・・・ そもそも電子書籍の購入経験が少ないことも影響しているのでしょう。

 とはいえ、書いていて少しまとまったこともあります。電子書籍の利便性というのは、どこからでもアクセスできることと、書き込みなどの自分の側からの能動的な記録が、比較的綺麗な形で残せることでしょう。とはいえ、こうした記録を残すために無理して電子書籍で読むことはない。紙で読みつつ電子書籍上でメモを取る、というのは、実際悪くない方法だと思い至りました。このことがわかっただけでも良しとしたいところです。

 皆さんは、電子書籍との付き合いについては、何か定見はおありでしょうか? 何かあれば、ぜひ教えていただきたく。

 

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