子どもの読書と大人の読書を繋ぐ書物

 ちょっと慌ただしいので簡単に。

 

 子どもの読書と大人の読書を繋ぐ間の書物というのは難しいなと思います。いわゆる児童文学と呼ばれるものから、大人の読書へと、人はどのように移っていくのでしょうか? 私の娘はかなりの読書家だと思うのですが、ライトノベルと呼ぶのでしょうか、あの手のものに夢中になっており、「大人の読書」へはなかなか移行してくれそうにありません。あれこれ強制しても仕方がないですし、そもそも子どもには子どもの世界があるわけですから、まずはそこを尊重しておきたい。とはいえ、大人の世界に入り込むための「地図」になるような本を以前から探していました。

 半年ほど前に見つけた一冊が、もしかしたら、そうした役を果たしてくれるかもしれません。

 

 『10代のための読書地図』(本の雑誌社、2021年)

 

 目次などは、以下のサイトからわかります。

 

10代のための読書地図 - 本の雑誌社の最新刊|WEB本の雑誌

 

 その名の通りで、10代に、つまり大人へとなる過程で読むと良い本を、批評家の方やその道の専門家、あるいは書店員の方々が紹介する書物です。私自身10代に出会っていた書物が出てくることも多く、懐かしい気持ちになると同時に、最近の若い人がどのような書物を楽しく読んでいるかをも教えてくれるものでもありました。子どもを育てる、若い人と接する、といった機会は、私たち自身にもう一度子ども時代、あるいは青春時代を生き直すことを可能としてくれる、と思っているのですが、このブックガイドを読んでいると、それと似た意味で、気持ちが伸びやかに若返る気がします。

 娘の読書と重ねて言えば、こちらに載っていたいくつかの本をリストアップして娘に勧めてみたところ、かなり集中して楽しく読んでいました。すべて読み終わったら、またライトノベルに戻ってしまいましたが、それはそれでよいのでしょう。この繰り返しなのだな、と思います。

 

 子どもに勧める本を探している方にも良いと思いますが、それ以上に、最近少し疲れているけれど、何かリフレッシュできる本を読みたい、という方にもお薦めできるかもしれません。

 なお私は、何人かの書店員の方が絶賛していたケストナーの『五月三十五日』、こちらを読んだことがなかったので、娘と一緒に読みました。良かったですよ。通常の意味での「児童文学」の概念をやすやすと乗り越えていく伸びやかさがある作品と思いました。

 皆さんと、こちらに載っている本についておしゃべりをする日が来れば、などとも願っています。

 

 一年を振り返る、といっても大げさではない時期となってきました。今年出会った書物のうちで、心に残った一つとして挙げておきます。

 

M&M's